よく言っても三枚目

なにがノマドワーカーだ。うらやましいぞ

虫歯と神経の話

この前、

白ひげを貯えた歯医者さんに全力で叱られた。

 

「なんでもっと早く来ないの!!」

 

どうやら、虫歯が神経にまで達していたらしい。

「これは痛そうだ、眠れなかったでしょ?」

 

歯科助手お姉さんたちが見ている手前、

「いや、別に…」と強がる僕。

実際めちゃめちゃ痛かったけど。

 

「これは神経抜いたほうがいいね」と先生。

「え?えーと」

待てよ、神経って抜いていいんだっけ。

 

「抜かなきゃダメですか?」

そう返す僕に、怪訝な顔を見せる先生。

「抜かなくてもいいけど、

すでに先っちょが傷んでるしまた痛むよ」

 

「神経を抜くのってデメリットもありますよね?」

続けざまに質問をぶつける僕。

 

「まあ、歯の寿命はわずかに早まるかな。

でも神経抜いたほうが痛みはなくなるよ」

先生がやたらと神経を抜きたがる。

 

なぜ僕が神経を抜くのに抵抗があるかと言うと、

" 神経は神の経(みち)"

と母に教えられた記憶があったから。

たとえ一本でも抜いたら身体に支障をきたすぞ、と。

 

結局、先生に諦めてもらい、神経は抜かずじまい。

虫歯を削って銀歯を被せるという処置だけ受けて、

僕はクリニックをあとにした。

 

その夜、僕はすぐに実家の母に連絡し、

歯の神経を守り抜いたという報告を入れた。

すると、母から驚きの一言。

 

「神経抜かないとまたすぐ痛むよ」

 

ちょっと待て。

話が違うぞ。

 

「いやだって、母さんが "神の経(みち)" って…」

「何だいそれは。あんた勧誘とかされてるの?

 

で、このあと色々と押し問答をしたんだけど、

神の経(みち)がどうのこうのっていう話は

本人まじで心当たりがないとのこと。

 

じゃあ僕は一体誰にこんな情操教育を仕込まれたんだ。

怖くなってきたぞ。

 

とりあえず皆さん、歯は大事にしましょう。

歯を磨くときは力を抜いて、じっくりと。

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